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父の匂い

嗅覚というのは感情に左右される感覚で、同じ匂いでも、好きなものはいい匂いと感じ、嫌いなものは悪臭に感じるそうです。納豆の匂いに顔をしかめる人もいれば、白ご飯が欲しくなる人もいるように。

漫画家の武内直子さんが新婚間もない頃、エッセイ漫画で夫の冨樫さんを「全然お風呂に入らないのに臭くない」と評していましたが、それは匂っていたのだと思います。それを不愉快に感じなかっただけで。

私の父は、元陸上自衛官で演習に行くと何日も帰りませんでした。帰ってくると私たち兄弟は、父のバッグの中にあるお土産の缶詰(今風に言うとコンバットレーション)を、汚れた下着を掻き分け先を争って探しました。中年の男が何日も風呂に入らず、汗とホコリまみれの下着です。しかし、全く臭いとは感じませんでした。他にも、父の頭皮のフケをよくほじって遊んだりもしていました。母はそんな私と父を「サルの親子」と言って笑っていました。

私は、父のことが好きだったのだと思います。そして、その思いは、今もあまり変わりません。

テレビで被災地で救援活動をする隊員さんを見ると、数十年早かったら、あそこにいたかもしれない父の姿を思います。そして、朝一番の尿の匂いが、父のソレに似てきたのに気づき、ああ、歳をとったなぁと感じます。

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