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おおかみこどもの雨と雪

小学1年生の頃、下校途中にもよおしてしまい、ガマンしたのですが堪えきれずにパンツのなかに漏らしてしまいました。恥ずかしさと罪悪感で暗い気分で帰宅した私を、母は何も言わずに風呂場で洗ってくれ「お腹の具合が悪かったのね」と気遣ってくれました。

細田守監督の最新作「おおかみこどもの雨と雪」を見て、そんなことを思い出しました。

以下、ネタバレあります。

今回はほとんど情報を入れずに見たので、冒頭の花の恋愛のシーンは、淡々とした映画だなー、くらいにまったり見ていたのですが、おおかみおとこの死で一気に急転「花はどうなっちゃうの?二人の子はどうなっちゃうの?」と一気に映画に引き込まれました。「おおかみこども」というフィクションを限りなくリアルに丁寧に描いていて、アニメーションの持つ力を強く感じました。特に雪の子供の動きと獣の動きの混じった動きは実にリアルで、活き活きとした存在感がありました。舞台が田舎に変わって、初めての作物作りに四苦八苦する花の姿を観て「ああ、これはアニメで『北の国から』をやろうとしてるんだな」と感じました。二人の子を抱えた一人親が田舎で己の人生に向き合う話。そんな地味な物語をアニメで描くための装置としておおかみこどもというフィクションがあるのだな、と納得し観ていたので、途中までこの作品は本当に北の国からのようにシリーズ化するものと思っていたのですが(そしてシリーズ化するだけの価値が、この作品にあるとも思っていました)作品はこれ1本で綺麗に完結しました。潔い。

花は子供たちに決して怒らず、大きい声も出さないのが凄いなと思いました。どんな悪さをされても決して感情を露にしない。私など簡単に猫に「コラッ」と声を上げるので、恥ずかしい。反省。

雪は終始可愛かったですね。小六の大人の女性の片鱗が見える辺りまでしか描かれてないのですが、将来きっと美人になると思いました。雪の恋、雪の出産、雪の育児というのも見てみたいです。

雨は、自分がおおかみという忌み嫌われる存在であることに涙する辺りや、すがる母を振り切って自分の世界へ旅立ってしまう辺りが、自分に重なりました。

作品は地味なようでも、映像は日本のアニメ技術の粋が凝らされていて、特に自然の描写、季節感、空気感の再現は、実写を超えてると感じました。圧巻です。もう一度映画館で観たいですね。すごく好きな映画です。

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アニメ・コミック」カテゴリの記事

コメント

初めまして、竹下先生。僕は埼玉県在住の高校生です。
記事とは全く関係無い長いコメントですが(映画は僕も見ました。優しい映画でした。)読んでくれたら幸いです。

僕は今年から受験生になってやっと将来について考え始めました。漫画家とイラストレーターについて調べています。
先日図書館で借りた本、「漫画家誕生169人の漫画道」を読んでいたところ竹下先生のページで目が止まりました。「interval story」のイラストが載っていて、可愛らしいキャラクターにグッと来ました。それから竹下堅次郎の経歴を読んで高校生の時(きっともっと前)から凄い人なんだなと思いました。

僕は漫画や絵を描く習慣が普段からあるわけでは無いのですが、その道に進もうと思っています。何故かというこの前中学からの親友から、「将来俺が小説出すとき、表紙頼んでいいか」と聞かれ、自分も興味を持っていたので「良いよ、やらせて」と返事したからです。

今の僕の方針は漫画家を目指す、です。今ゼロから始めようともがいています。まずやるべきことは何でしょうか

投稿: 夕凪 | 2012年8月21日 (火) 19:51

>夕凪さん
漫画家やイラストレーターに興味をもたれているそうですが、結論から言います。おやめなさい。
まず、夕凪さんは、友人に言われたからと言ってますが、絵を仕事にする人は、人から言われたり頼まれたりしなくても「描きたくてしょうがない」という衝動で既に描き始めています。また、「何をすればいいですか」という質問も、まるで見当違いです。本当に絵を描きたい人は、そんな質問をする前にもう描き始めています。描き始めた上で様々な壁に突き当たっているというのであれば、アドバイスのしようもありますが、あなたは、はじめの一歩すら踏み出していません。
察するに、夕凪さんは受験勉強から逃げたいだけなのではないでしょうか?
私の中学時代の親友も「俺が本出したら、竹下が表紙描いてくれよ」といってくれましたが、約束は果たされること無く、その友人は今年の2月に亡くなりました。
夕凪さん自身に、描きたいもの、表現したいものがあるなら、既にあなたは描き始めています。それが無いと言う事は、あなたには表現したいことがありません。なのでこの世界はお勧め出来ません。

投稿: 竹下けんじろう | 2012年8月21日 (火) 20:39

夕凪です。ご返答有難うございます。僕の疑問は極めて軽率でした。おっしゃる通り、逃げているだけです。その証拠に竹下先生の文面を見ただけで一度、頭が真っ白になって自室へ逃げ出してしまいました。
活字として視覚でとらえ、初めて痛感しました。周りの人からの助言も今まで聞き流していたのだと思います。

ぶしつけな質問に答えていただき大変感謝しています

投稿: 夕凪 | 2012年8月22日 (水) 15:29

>夕凪さん

私が「おやめなさい」と言ったのは、あくまで今の夕凪さんに対してです。例えば大学に行ってから漫画を本当に描きたくなり、バリバリ描いているかもしれません。その時はまた別の話をします。
目の前のやるべきことから逃げたがっている若者を、甘い言葉で誘い小金を巻き上げる悪い大人が、この世には少なからずいます。そういう大人に引っかかって、時間とお金を無駄にすることが無いよう、あなたの人生はあなたが責任を持って考えてください。

投稿: 竹下けんじろう | 2012年8月22日 (水) 16:16

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