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火に手をかざす

この時期、お湯を沸かしたりしていると台所の寒さから、ついコンロの上に手をかざしてしまうのですが、ソデの長いものを着ていると、引火しそうで危ない。そして、その度に思い出される人と事件があります。
10年以上前だと思うのですが、大晦日の夜、1人暮らしお年寄りの女性が、カップそばを作ろうとして半纏に引火して焼死するという事件がありました。1人で迎えるお正月。せめてもの年越しにそばを作ろうとして引火した…のかもしれません。
20歳の頃、アシスタントをしていた頃に住んでいた木造のアパートの隣には年配の女性が独りで住んでいたのですが、この方が夜中に度々奇声を上げたりする人で、何度か話しかけたり挨拶してみたのですが、こちらの意図が通じていないと言うか、意志の疎通のようなものはほとんど出来ませんでした。旦那さんが入院している、その間だけここに住んで待っているというようなことを言っていたのですが、それも真偽は判りませんでした。
なにしろ隣で死なれたり火事を起こされても困るので、度々隣の様子を台所の小さく開けられていた窓から伺ったりしていたのですが、その台所にカップ麺の空き容器が沢山積まれていました。何かの容器に洗って残しておくというのは判るのですが、とうてい一人暮らしでは使い切れないような量が積まれているのを見て、なにか触れてはいけない部分を見てしまったような感じがしました。
私がそのアパートにいたのは2年間くらいなので、その後隣の女性がどうなったかは判りません。
ただ今まで覚えていたということは、この名も知らぬ隣人の事を、きっと今後も忘れないだろうと思います。そして、私のことも誰かが、私の想像も付かないような赤の他人が、私のことを覚え続けてくれているかもしれない。もしそうならば、孤独死しても孤独ではないような気がするのです。

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