アニメ・コミック

どうらんの下に涙の喜劇人「NKJK」

小説家、眉村卓氏は、余命1年と宣告された妻に読ませるために、毎日一話の短編小説を書き続けました。5年間。1778話。
それは奥様の生前の頃から話題になり、「美談」と言う人もいれば「偽善」「はた迷惑」と評する人もいて、でも当の眉村卓にとってはそんな他人の思惑を気にしている余裕など無かったと、後に記しています。
「NKJK」(作・吉沢緑時)という漫画はそういう話です。不治の病に冒された幼馴染「富士矢舞」を笑わせることで、少しでも「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」を活性化させようと、それまで「お笑い」なんてほとんど見たことのないお嬢様育ちの女子高生「西宝夏紀」が悪戦苦闘する物語です。
舞の母親からの頼みとはいえ、病室で、病人の前で笑わせるために奇声を上げたり奇天烈な行動をすることが、どれだけ迷惑なことかを夏紀はよく判っています。「でもやる」んです。その結果は大半が空振りで、読む方はその滑った姿に苦笑したり、稀に成功した時に一緒に笑ったりという感じなのですが、確実に舞の病気は進行していて、無力感が夏紀を絶望に叩き落します。
特に、アイスのエピソードは、「可愛くて可笑しい話」で落とすことも出来たのに、最後のたった1ページで夏紀と共に目の前が真っ暗になる思いでした。
何もしないほうがいい。それも一つの考え方かもしれません。でも、人は思い出しかあの世に持って行けない。そして思い出は生きてる時にしか作れない。だからこそ夏紀の戦いは尊いのだと思います。

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キンドル版

今年の夏から、私の古い作品のキンドル版の発売が始まりました。

「HappyWrld!」と「カケル」の2作が販売開始しています。また、一昨年連載されていた「レンアイガク」のキンドル版も出ています。
また、他のプラットホームでの電子版も多数出ています。
近年、よくネットなどで「漫画の単行本は発売1ヶ月以内に買わないと実績にならないし、作者にとってプラスにならない」と言われてます。それはその通りで、漫画の単行本の印税は一般的に刷った分が支払われるので、発売1年後に売れても得をするのは書店さんだけです。これは今の出版、流通のシステム上、変えようの無い現実です。
しかし電子版というのは、発売開始1年後に1冊売たら、1冊分の印税が作者に支払われます。
短期的な商売は紙の本で、長期的な商売は電子版でというのが、今後の出版界の生き残る道かもしれません。そして何より、月日が経っても、自分の作品を「読みたい」と思った人に、すぐ届けられるというのは、書き手としてはこれ以上なく嬉しいことです。

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新連載準備中

まだ詳しくお話できないのですが、8月からカドカワさんの「コミックウォーカー」誌で連載が始まります。しかも、アニメ作品のコミカライズです。かなりの大型タイトルとしか言えないのですが、既に制作は進んでいます。
毎日のように大量のアニメ資料が届くのですが、その量が膨大で「こんなに沢山の設定を元にアニメは作られていたのか!」と驚くと共に、普段お金を出して買っている設定が毎日家にいながら届くというのが、一アニメファンとして夢のようです。
もちろん、お仕事なので大変な部分もあります。特にアニメ制作側からのリテイクがあるのですが、理不尽なものでなく「確実に作品をいいものにするため」のリテイクなので、凄くやる気が刺激されます。
8月の上旬にはお知らせできると思いますので、お楽しみに。

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Marmo

昨日発売の「ナマイキッ!」で「Marmo」は無事最終回を迎えました。最初から1巻でという話だったので、ほぼ予定通りに描くことが出来ました。
コンビニ売りのエロ漫画誌、しかも成年マークがついていない雑誌ということで、表現に関して多くの制約があったのですが、逆にそれ以外の部分では、かなり好き勝手に描かせてもらえました。結果として私という人間を、よく反映した物語になったと思います。これまで描いた作品では「パープル」が近いかな。
単行本の作業もほぼ終わり、来月発売になります。
そして、次の連載の準備もぼちぼち始まっています。夏頃にいいお知らせが出来ると思いますので、頑張ります。

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シンデレラガールズ・ツイン

モバマスことアイドルマスター・シンデレラガールズのテレビアニメ化が正式発表され、熱心な課金兵ではないゆるいファンの私も嬉しいです。特に島村さんがセンターで、初期から島村さんが好きだった私としては「本当にシンデレラになっちゃった」と感慨深いです。

モバマスと言うと、もみじ真魚さんが描かれた「シンデレラガールズ・ツイン」という同人誌があります。私はもし人前で泣かなければならない局面があったら、この本を思い出すことにしているのですが、それくらい私の涙腺にガッチリ食い込んだ作品になってます。

CDデビューが決まっても、武道館ライブが決まっても「わーい嬉しいです」だけだった島村さんが、凛のたった一言で号泣してしまうシーンに胸を打たれます。彼女は他の何でもなく凛のそのたった一言を聞くために頑張ってきて、それが報われた瞬間だからです。

多くの人の支持を受けている人が、実はたった一人のために頑張っていたということがたまにあります。その「たった一人のために」という純粋な思いが輝きになって、結果多くの人に届くのでしょう。漫画でも「誰か一人の仮想読者を作って、その人を喜ばせることに徹したほうが、逆に多くの人に読まれる」という説があります。

モバマスアニメはアニマスのスタッフが多く参加してくれるようなので、今からどんな輝きを見せて貰えるのか楽しみです。

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観ると勇気が湧いて来る

昨年から視聴している「ガンダム・ビルドファイターズ」とても面白いです。始まった最初は「プラモ狂四郎?」と思って軽く見てたのですが、これが一話目から現在まで面白くない回が無いくらい面白い。王道の少年漫画のストーリーでありながら、私のようなオールドファンも唸らせ楽しませてくれます。

爆笑問題の太田さんの言葉なのですが「本当の芸術」は、観た人に「こういう風になりたい」とか、「こういうものを自分も作りたい」という勇気と元気を与えるもので、どんなに出来が良くても観た人を打ちのめしてしまうものは「本当の芸術」ではないそうです。

これは、受け止める側の気持ちの問題もありますが、確かに技巧は凄くても観る人を打ちのめしてしまう作品と言うのはあるなと思います。

「ガンダムBF」は、観るたびに「自分にもまだ何かが出来るのではないか」という勇気が湧いて来ます。子供の頃の無限の可能性が蘇ってくるような感じがあります。

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翠星のガルガンティアと境界の彼方

今年のアニメも一通り放送が終わり、今年は個人的にはオリジナル作品が豊作だった一年でした。中でも「翠星のガルガンティア」と「境界の彼方」の2本にはちょっと別格の思い入れがありました。この2本は主題歌を畑亜貴さんが作詞し茅原実里さんが歌っているという共通点がありますが、内容的にも共通するものがありました。

「ガルガンティア」は、それまで信じてきた価値観も、戦ってきた意味も、帰る故郷も失った少年が、それでも共に生きていく人を見つける物語です。そして「境界の彼方」は、ある少年を殺すことでしか、自分に存在意義を見出せなくなった少女が、何度も少年を殺そうと試みるも、その少年は「僕は君と同じだ」と少女を受け入れてしまう物語です。

どちらも、自分の存在意義を失った者が、誰かの受容によって救われる物語です。

価値が多様化し、「絶対に正しい生き方」というものが見出せない今の日本は、若い人にとって、実はとても生き難い時代なのかもしれない。そんなことをこの2本の作品から感じました。そんな主人公たちに対して、お話の中とはいえ、希望を提示したこの2作は、とても印象に残りました。

また、少し違うのですが、「ガッチャマンクラウズ」も現代の抱える問題に対してある種の解答を模索した物語だったと思います。群像劇の部分が大きく、個人の感情の掘り下げが少なかったのですが、「ゾクリ」と来る悪寒を何度か味わいました。

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パープル

Jコミさまで、私の初連載作品「パープル」が無料公開されました。

http://www.j-comi.jp/book/comic/46091

20歳になったばかりの頃にヤングサンデー増刊「大漫王」で始まった連載で、全2巻です。内容は両性具有と同性愛と近親相姦を扱った恋愛物で、当時は「衝撃の問題作!」みたいな扱いでしたが、描いている本人は「面白いものを描こう」とは思っていましたが、何か「問題作を描こう」という意識はありませんでした。

掲載されているのは6年前に出た新装版のものなので、表紙はまだ今の絵に近いのですが、中身は更に10年以上古い作品なので、今見ると拙くて正視に堪えないのですが、一生懸命描いていたんだなと感じます。

あの頃の方が今よりずっと純粋に懸命に漫画を描いていたように思います。漫画を描いている時間だけが自分の全てで、他には何もいらなかった・・・それに引き換え今の自分は、漫画以外のことにフラフラと気を取られ、そのくせ欲が深く、どうやったら売れるかしか考えていない・・・と思ったのですが、良く考えたら当時もバイトしたりバイクの免許をとったり恋愛に現を抜かしたり飲み歩いたり「ドラマ化して~売れて~」とか考えていました。結論「人は成長しない!」

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キルラキル

新番組「キルラキル」第1話視聴しました。

「グレンラガン」の今石監督と脚本の中島かずき氏の最新作ということで、否が応でも期待が高まって、耳に入れないようにしても好評判が聞こえて来るのをなるだけ避けて視聴しました。

凄い。圧倒的な熱量、怒涛のテンポ、ケレン味のあるセリフ回し、理屈を振り払う映像の力技。素晴らしい。

その一方で、この濃縮還元されたような面白さは、様々な漫画やアニメの「お約束」の下地の上に成り立っているのかもしれないとも感じました。この「お約束」への依存が極まったのが、歌舞伎や能などの伝統芸能なのだと思います。予習しないと何がなんだか判らない。「キルラキル」を70年代の学園漫画や80年代のバトル漫画を知らない人が読んで、どう感じるだろうか、新鮮な驚きに引き込まれるか、付いて行けずに振り落とされるか。小学校高学年から中学生くらいの人の感想が知りたいです。

なんにしても、これから数ヶ月、週刊少年「キルラキル」を楽しませていただきます。

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まほ嫁

今月17日発売の「ヤングチャンピオン烈」に新作読みきり「まほ嫁」が掲載されます。

この作品は、実は「スポ×ちゃん!」連載時から構想があった作品で、今年の夏コミのサークルカットにヒロインのまほさんを既に描いていました。(本当はもっと早くに発表できると思っていたのですが…)

かなりバカバカしい感じの漫画なのですが、描いてる本人はすっっごい楽しんで描いたので、読んで楽しんでいただけたら幸いです。

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