書籍・雑誌

町山さん

町山智浩さんの本を何冊か読んだのですが、どれも面白いです。

町山さんはアメリカ在住の映画評論家で、映画に限らずアメリカのプロスポーツやアメリカ文化に造詣が深く、アメリカという国を俯瞰で眺める観察者のような人です。その文章は簡潔で軽妙で読みやすく、内容は深い。

そして、スーパースターの転落人生や刃傷沙汰の悲劇を滑稽に皮肉めかして書いていても、町山さんの対象を見る目線には、どこか哀切の感情が感じられる。「人ってこういうものだよね、こういう生き物なんだよね」という諦観と捨てきれない希望のようなものが見え隠れする。

対象を描くことで、実は執筆者を透かし彫りのように浮き上がらせるのがルポやドキュメンタリーの面白さだなぁと最近感じます。

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赤鬼はもう泣かない

タイトルと堀口さんの絵に惹かれ手に取りました。とてもよかったです。

帯の推薦文をKeyの麻枝さんが書いているのですが、確かに「Key作品ぽいな」と感じました。特に「Kanon」と「AIR」。

主人公の男の子は新しい環境に移ると共に一人の女の子と出会う。ちょっと常識外れな奇抜な言動をして主人公を振り回す女の子。そんな女の子に心惹かれつつある主人公。序盤の描写は軽妙で、ともすればギャグ漫画のような雰囲気だが、後半一転して怒涛のシリアスな展開と共に、女の子の奇妙な言動が実は深刻な理由と因縁を元にしていたことが明かされる。そしてラストは涙を振り絞る。

という感じで、非常に似た印象です。しかし、ただの模倣というわけではなく、特にその小ネタやギャグをからめた、漫才のような軽妙な語り口は、とても新鮮かつ熟練を感じました。その文章技術で後半のシリアスな展開を描くのがまた良かったです。

ただ、これは一冊で完結する話で、続編や長編展開というのは、まず難しいと思います。同じ世界観と設定で、全く別のキャラクターのボーイミーツガールを書くというのはありかもしれませんが、それよりはこの方の別の物語を読みたいと思いました。

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刻まれた言葉

『ぼくは自分がふつうの人たちの一人だなんて思っていない。そこからはみ出したり、いざというときに切り捨てられたりする方の人たちの味方のつもりだ』

 飛火野 耀 「もうひとつの夏へ」より

中学生の時に読んで以来、何度となく読み返した小説の一節です。読み返した回数は、生涯で一番かもしれません。心が柔らかい時期に刻まれた言葉は、その後の人生を照らし、指し示し、律し、励ましてくれます。

久しぶりに読み返したら、かなり細かいところまで覚えていることにビックリしました。そして、今の日本の状況を予言していたような内容に驚かされます。

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なれる!SE

なれる!SE
ラノベ界初のSEを題材にした小説です。大変面白かったです。SEと言うと「ブラック企業」とか「デジタル土方」とかの漠然としたマイナスイメージしかなかったのですが、なんとなく漫画の現場に近い印象を受けました。
ファンタジーもいい、セカイ系もいい、でもそれらの縮小再生産が産むのは動脈硬化だけです。このような既存のジャンルに風穴を開ける作品は業界に新しい刺激を運んでくれると思います。
続編に期待。

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アクセル・ワールド3 

週刊連載をしてるから、本を読む時間なんて無い。というのはウソです。面白ければ読むんです。どんなに時間が無くても。

で、読みました。アクセル・ワールド3-夕闇の略奪者- 今年に入ってコンスタントに続きが出て、出るたびに読んでます。面白いです。少年時代の熱血とときめきが蘇ります。3巻は黒雪姫の活躍が少なかったのですが、その分水着シーンがあったので良しとしますか。ちなみにこの3は話がいい所で「以下次巻」となるのがなんとも歯痒いです。首を長くして4を待ちます。

現在はキノの旅の最新13巻を読んでいます。「旅人の国」が考えさせられました。

写真は駅で見つけたポスターです。姫可愛いよ。

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アクセル・ワールド

「キノの旅」既刊全て読了しました。しかし脳がラノベを読みたがっているので新作に手を伸ばしてみました。

「アクセル・ワールド 1 黒雪姫の帰還」 著・川原礫

電撃小説大賞の大賞を受賞したと言う、いわば鳴り物入りの新作です。

大変読みやすく面白かったです。文章が読み手をぐいぐい引っ張ってくれて、一気に読みました。

主人公は未来の中学生。いじめられっこの彼が、学校一の有名人の先輩と出会い、先輩の導きで新しい世界のドアを開ける。そこには、自分も知らなかった新しい自分がいた。

ニューロリンカーという、「脳の一部と五感をパソコン化してしまう」デバイスや、それを利用した新しいネット世界など、SF的なギミックが多いのですが、現在のパソコンやネットの延長、生活の一部として(簡潔で平易な文章で)描かれているので、今の若い世代にはとても入りやすいと思います。私が学生の頃、ヴァーチャルリアリティと言ったら、ディックや攻殻のようなハードで退廃的なものがほとんどでした。マトリックスを観たとき「なんて判りやすいんだ」と思ったものです。

何度も言いますが、兎に角読みやすかったです。頭の中で、コマ割りしながら読みました。

ヒロインの黒雪姫がとても可愛いです。知的で、常に冷静で落ち着いているのに、嫉妬で自分が抑えられないあたりがとても良いです。

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キノの旅

時間もお金も有限です。限られたそれらを、何にどれだけ賭けるか。人生は絶え間ないギャンブルと言えます。

興味があっても、なかなか見る機会、読む機会が無い作品と言うのが、誰にもあるかと思いますが、「キノの旅」は私にとってそんな未読の作品でした。

この年末、少しだけ時間にゆとりが取れそうなので、この機会に手にとってみました。

実に面白い。

連作短編で、各話が短いのも、社会人に優しく嬉しい(笑)仕事の小休止に1話読めます。

ナガレにも、こういった要素を入れても良かったかな。いえ、別にナガレを女にするというわけではありませんよ?

1巻の初版が2000年なので、もう8年以上も前の作品になりますが、不思議な懐かしさと新しさを感じました。

自分の漫画も、8年越しに読まれることがあるのかもしれないと、思いました。

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